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福岡の伝説のデザインホテル〈ホテル・イル・パラッツォ〉は現代にいかに生まれ変わったか?
November 21, 2023 | Travel, Architecture, Design | casabrutus.com | photo_Yoshikazu Shiraki text_Hisashi Ikai
デザインホテルの先駆けとして、1989年に誕生した福岡の〈ホテル・イル・パラッツォ〉。一世を風靡した20世紀後期の力強いデザインに現代の感覚をプラスしリニューアル、2023年10月1日にグランドオープンを迎えた。圧巻のプロジェクトの原点を振り返りつつ、生まれ変わったポイントを紹介する。
1989年はとんでもないことばかりが起こる年だった。年明け早々に昭和天皇が崩御。6月には天安門事件が起こり、暮れにはベルリンの壁が崩壊するなど、世界を揺り動かす出来事が連続した。そんな激動のなか、デザイン界では福岡に完成した小さなホテルが話題になっていた。内田繁がアートディレクション、インテリアデザインを手がけ、アルド・ロッシが建築を担当。さらに田中一光がグラフィックを手掛けるという、今では考えられない豪華メンバーの競演により完成した〈ホテル・イル・パラッツォ〉の登場だ。
福岡きっての歓楽街を生まれ変わらせ、スタイリッシュな風を巻き起こすべく建設されたホテル イル・パラッツォは、単なる宿泊施設ではなかった。デザインによって人を引き寄せ、豊かな時を作り出す場となるよう、別棟には、アルド・ロッシ、倉俣史朗、エットレ・ソットサス、ガエタノ・ペシェがデザインした4つのバーを併設。さらに地下階にはクラブ「バルナ・クロッシング」もオープンさせ、“眠らないホテル”として観光客のみならず、地元の人々にも深く愛されてきた。
福岡きっての歓楽街を生まれ変わらせ、スタイリッシュな風を巻き起こすべく建設されたホテル イル・パラッツォは、単なる宿泊施設ではなかった。デザインによって人を引き寄せ、豊かな時を作り出す場となるよう、別棟には、アルド・ロッシ、倉俣史朗、エットレ・ソットサス、ガエタノ・ペシェがデザインした4つのバーを併設。さらに地下階にはクラブ「バルナ・クロッシング」もオープンさせ、“眠らないホテル”として観光客のみならず、地元の人々にも深く愛されてきた。
・1989年当時の〈ホテル イル・パラッツォ〉
バブルの頂点とも言える絢爛の時代に生まれた〈ホテル・イル・パラッツォ〉は、まさにデザインホテルの先駆けと呼べる存在。しかし、誕生から30年以上を経て各所が老朽化。世が求めるニーズも大きく変化したことを受け、ホテルは2022年1月に一旦休館し、総工費18億円をかけた大規模な改修プロジェクトが始まった。
改修といっても、建物そのものが20世紀後期の潮流を象徴する貴重なデザイン遺産であることから、一筋縄で進めることはできない。そこで、リデザインを、内田繁の意志を正統に受け継ぐ内田デザイン研究所が担当。全体のディレクションをおこなった内田の理念を丁寧に読み解きつつプランニングを組み立てていく。
改修といっても、建物そのものが20世紀後期の潮流を象徴する貴重なデザイン遺産であることから、一筋縄で進めることはできない。そこで、リデザインを、内田繁の意志を正統に受け継ぐ内田デザイン研究所が担当。全体のディレクションをおこなった内田の理念を丁寧に読み解きつつプランニングを組み立てていく。
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